
めておきたい。 1993年の時点で青少年援助の重点は、やはり傘下幼稚園保育所の充実で、特に東西統一直後の事もあって、旧東独地域の新州における新設が議論となっている。1992年次に14か所であった施設が,1993年次に145へと飛躍的に充実している。これは逆に、赤十字社が布来旧東独地域でほとんど積極的活動を展開していなかった一つの証左となるかもしれない1995年の全国レヴェルの数値では、赤十字社は800以上の幼稚園・保育所を傘下に入れている。1994年以降の報告書では、ボン本部の活動としては、青少年援助に関するシンポジウム開催が主流となっている、これは、全国本部の役割としては、やはり情報・啓発機能が中心となる事の現れといえよう。毎年2ないし3の専門家会議が開催されており、参加者が青少年ではなく専門家である点に、全国本部の役割認識が明確に反映されている49)。 5. 結び−公益法人認可と補助金給付の分離
ドイツで公益法人もしくはそれに準ずる組織としての処遇を享受したい場合には、一定の組織要件と追求目的の公益性を調った定款を整備し、当該組織本部所在地を管轄する税務署に対して、公益性審査を申請し、承認を受けるだけで十分である。公益性を認められ得る組織目的に関して、勿論一定の基準があるものの、教育文化であれ、社会福祉であれ、開発援助であれ、その分野に関係なく、税務署が一元的に審査する。また、追求される目的の作用範囲が、当該税務署の管轄区域を超えて、たとえ開発援助として国際関係に発展しても、当該税務署が公益性審査にあたる。こうした一元的な公益法人手続は、公益目的を追求しようとする組織や団体にとって、大変分かり易く好都合な制度である。 公益法人としての処遇が認められれば、公益目的の追求に関する限り、団体活動に関わる収益に一定の免税措置が講じられると同時に、当該公益法人に寄付を行う個人もしくは団体に対しても、控除措置が適用される。この免税・控除制度が公益法人の維持運営に大きな意義を持つ事は、論を侯たない。公益目的を追求しようとする限り、非常に簡便な手続のみで税制上の優遇を受けられ、組織運営が可能となるドイツの公益法人制度は、どのような公益目的であれ、市民セクターが活動し易くなるための、非常に重要な基盤を構築していると言えるだろう。 こうした公益法人制度がドイツで十分に活用されている一例が、無償社会福祉や自助福祉の領域である。無償社会福祉の領域では、全国的組織を持った6団体があり、それぞれ
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